
718ケイマンを購入するとき、多くの人が迷うのが300PSのベースグレードと350PSのSのどちらを選ぶかです。Sのほうが速いのは明らかですが、公道を中心に走るならベースでも十分な性能があります。一方、力強い加速や余裕のある走りを重視する人にはSが向いています。価格差や維持費、中古車の装備まで比較し、自分に合うグレードを判断できるように解説します。
718ケイマンのベースとSは、どちらもミッドシップレイアウトを採用した2人乗りスポーツカーです。基本的なボディや使い勝手は共通していますが、エンジンの排気量、出力、加速性能、価格に違いがあります。
| 比較項目 | 718ケイマン | 718ケイマンS |
|---|---|---|
| エンジン | 2.0L水平対向4気筒ターボ | 2.5L水平対向4気筒ターボ |
| 最高出力 | 300PS | 350PS |
| 最大トルク | 380Nm | 420Nm |
| 0-100km/h加速 | 4.9秒 | 4.4秒 |
| 最高速度 | 275km/h | 285km/h |
| 公式掲載価格 | 948万円 | 1,077万円 |
| 向いている人 | 公道中心・費用重視 | 加速・余裕・速さ重視 |
価格や加速性能はポルシェジャパンのモデルページに掲載されている代表値です。トランスミッションやスポーツクロノパッケージなどの装備によって、実際の加速タイムや車両価格は変わります。
街中や一般道、速度域の低いワインディングロードを中心に走るなら、ベースグレードの300PSでも不足を感じる場面は多くありません。最大トルクは380Nmあり、低回転域から力強く加速するため、日常の追い越しや高速道路への合流にも余裕があります。
ベースはSより最高出力が50PS低いものの、そのぶんアクセルを踏み込んでエンジンの力を引き出す楽しさがあります。公道では性能を使い切りやすく、運転する面白さと購入費用のバランスを重視する人にはベースが適しています。
718ケイマンSは2.5Lターボエンジンを搭載し、最高出力350PS、最大トルク420Nmを発生します。ベースよりアクセルを軽く踏んだ段階から速度が乗りやすく、高速道路や上り坂では排気量とトルクの差を実感しやすいでしょう。
スポーツ走行を楽しみたい人や、追い越し加速の力強さを重視する人にはSが向いています。反対に、街中で短距離を走ることが多い人は性能を持て余す可能性があります。速さに明確な魅力を感じるかどうかがSを選ぶ判断材料です。
内燃エンジンを搭載する現行718シリーズは、2025年10月に生産を終了しています。2026年7月時点のポルシェジャパン公式ページにもモデル情報は掲載されていますが、新規注文はできず、利用可能な在庫を確認するよう案内されています。
そのため、現在ベースとSを比較する場合は、未登録の在庫車、認定中古車、一般の中古車が主な選択肢です。掲載価格は新車時の基準として参考になりますが、実際の販売価格は年式、走行距離、装備、車両状態によって大きく変わります。
ベースとSは同じ718ケイマンでも、エンジンの性格には違いがあります。ただし、どちらも水平対向4気筒ターボであり、Sを選んでも6気筒エンジンになるわけではありません。
ベースの2.0Lエンジンは300PSと380Nmを発生し、日常的な回転域でも十分な加速力を備えています。車体中央にエンジンを配置するミッドシップ構造との組み合わせにより、ハンドルを切ったときの反応が自然で、軽快に向きを変えられます。
Sの2.5Lエンジンには、排気の流れに応じて働き方を調整するVTGターボが採用されています。低回転から高回転まで力を出しやすく、上り坂や高速域でも加速が鈍りにくい点が特徴です。ベースよりも少ないアクセル操作で速度を上げられます。
0-100km/h加速の公式掲載値は、ベースが4.9秒、Sが4.4秒です。数値上の差は0.5秒ですが、実際の運転では発進加速だけでなく、走行中にアクセルを踏み足したときの反応や、登り区間での余裕として違いが表れます。
Sは低い回転数から強いトルクを使えるため、高速道路の合流や追い越しを短時間で済ませやすくなります。一方、ベースも一般的な乗用車と比べれば非常に速く、法定速度内で大きな不満が出る性能ではありません。
Sには大径ホイールや赤いブレーキキャリパーなど、ベースとの違いが分かる装備が採用されている車両があります。ただし、718ケイマンはオプションの種類が多く、ベースに大径ホイールやスポーツ系装備が追加されていることも珍しくありません。
PASMは路面や走行状況に合わせて減衰力を調整する電子制御サスペンションで、装着車は車高も低くなります。PTVは左右後輪への駆動力を調整して旋回性を高める装備です。中古車ではグレード名だけでなく、こうした装備の有無も確認しましょう。
718ケイマンは使用する道路によって、適しているグレードが変わります。通勤や街乗りが中心なのか、休日の山道やサーキットまで走るのかを整理すると選びやすくなります。
信号や交通量が多い街中では、Sの350PSを十分に使える機会は限られます。ベースでも低回転からトルクが出るため、発進や車線変更で力不足を感じにくく、アクセルの踏み方によって穏やかにも力強くも走れます。
大径ホイールを装着した車両は路面の凹凸を感じやすくなるため、乗り心地を重視するならタイヤサイズも確認が必要です。ベースだから必ず快適、Sだから必ず硬いとは限らず、PASMやホイールの仕様による影響も大きくなります。
カーブが続く山道では、ベースとSのどちらでもミッドシップらしい素直な旋回を楽しめます。ベースはアクセルを深めに踏みながら速度を組み立てやすく、エンジンを積極的に使って走りたい人に合います。
Sはコーナーを抜けた後の加速が強く、上り区間でも速度を回復しやすいことが魅力です。ただし、速さを優先しすぎると公道では性能を発揮できません。操作する楽しさを求めるならベース、力強さを求めるならSという選び方ができます。
高速道路を使った長距離移動では、Sの豊かなトルクによって追い越しや合流を落ち着いて行えます。速度が高い状態からでも加速が続きやすいため、エンジンを頻繁に高回転まで回さなくても余裕のある走りが可能です。
サーキットでは直線加速やコーナー脱出時の差が明確になり、Sの性能を生かしやすくなります。走行会への参加を考えている場合は、出力だけでなくブレーキ、タイヤ、冷却系、オイル管理なども含めて車両を選ぶ必要があります。
公式掲載価格では、ベースが948万円、Sが1,077万円で、差額は129万円です。ただし、ポルシェはオプションによって価格が大きく変わるため、中古車ではグレードと価格が単純に比例しない場合があります。
718ケイマンには、スポーツクロノパッケージ、PASM、スポーツエグゾースト、LEDヘッドライト、電動シート、内装レザーなど多くのオプションがあります。装備が充実したベースは、装備が少ないSより高い価格で流通することがあります。
購入予算が限られている場合、グレードだけを優先して装備の少ないSを選ぶより、必要な機能を備えたベースを選ぶほうが満足できる可能性があります。反対にエンジン性能を後から高めるのは難しいため、速さを重視するならSを優先しましょう。
ベースの排気量は1,988ccで、Sは2,497ccです。2019年10月以降に初回登録された自家用乗用車の標準税率では、ベースの自動車税種別割は年額3万6,000円、Sは4万3,500円となり、年間差は7,500円です。
2019年9月以前に初回登録された車両では、ベースが3万9,500円、Sが4万5,000円で、差は5,500円です。税金だけで大きな差が生じるわけではありませんが、燃料代や消耗品を含めるとSのほうが維持費は高くなりやすいでしょう。
Sや大径ホイール装着車は、タイヤのサイズや銘柄によって交換費用が高くなる傾向があります。高性能タイヤはグリップ力に優れますが、走り方によっては減りも早くなります。購入時には残り溝だけでなく製造年も確認してください。
ブレーキローターやパッドも、正規部品を使用するとまとまった費用が必要です。任意保険料はグレードだけで決まらず、年齢、等級、補償内容、使用目的などで変わります。車両価格だけでなく、購入後の整備予算も確保しておくことが大切です。
現在は中古車や在庫車が中心となるため、グレードの違いだけでなく、一台ごとの状態を比較する必要があります。718ケイマンでは、年式、整備履歴、オプション、使われ方が満足度を左右します。
718ケイマンには6速MTと7速PDKがあります。MTは自分でギアを選び、クラッチ操作を含めて運転を楽しめることが魅力です。PDKは2つのクラッチを使って素早く変速する仕組みで、街中でも扱いやすく、加速時の変速も滑らかです。
運転への参加感を重視する人はベースのMTでも高い満足感を得られます。速さと使いやすさを重視する人にはSのPDKが向いています。ベースかSかだけでなく、MTかPDKかを同じくらい重視して選びましょう。
中古車では定期点検記録簿を確認し、エンジンオイル、ブレーキフルード、冷却系、PDKやクラッチなどが適切に管理されてきたかを調べます。走行距離が短くても、長期間動かされていない車両が必ず良好とは限りません。
タイヤ、ブレーキ、バッテリーなどの交換時期が近い車両は、購入直後に費用が発生します。車体下部の傷、ホイールの損傷、修復歴、塗装状態も確認し、不安がある場合はポルシェに詳しい販売店や整備工場で点検してもらいましょう。
試乗では加速力だけでなく、低速時の乗り心地、ハンドルの重さ、ブレーキの感触、車内に入るエンジン音などを確認します。PASMの有無やタイヤサイズによって乗り味が変わるため、別の個体も試すと違いを判断しやすくなります。
可能であればベースとSを同じ日に試乗し、普段使う速度域で比較してください。Sの加速に強く魅力を感じるなら、購入後も満足しやすいでしょう。差が小さく感じる場合は、状態や装備が良いベースを選ぶほうが合理的です。
718ケイマンのベースは、公道で性能を使いやすく、購入費用や維持費を抑えながらミッドシップスポーツカーの走りを楽しみたい人に適しています。300PSと380Nmの性能があるため、街乗りや山道、高速道路で力不足を感じる可能性は高くありません。
Sは350PSと420Nmによる力強い中間加速が魅力で、高速道路や上り坂、サーキットで余裕のある走りを求める人に向いています。ただし、中古車ではグレードだけで決めず、MTとPDK、PASMなどのオプション、整備履歴、消耗品の状態まで比較することが重要です。
公道中心で費用とのバランスを重視するならベース、加速性能に妥協したくないならSを選ぶとよいでしょう。最終的には両方に試乗し、普段使う速度域でSの性能差に価格以上の価値を感じられるかどうかで判断してください。