
ポルシェのオープンスポーツを中古で選ぶとき、悩みやすいのが718ボクスターと981ボクスターのどちらを買うかです。新しくて速い718に対し、981は自然吸気6気筒ならではの音と回転感覚を楽しめます。ただし、年式や価格、維持費、装備には大きな違いがあります。この記事では、それぞれに向いている人や中古車選びの注意点を初心者にもわかりやすく紹介します。
結論からいえば、エンジン音や自然な回転感覚を重視するなら981ボクスター、速さや日常での扱いやすさ、年式の新しさを優先するなら718ボクスターが向いています。単純に新旧だけで判断せず、何を楽しみたいかによって選ぶことが大切です。
981ボクスターの大きな特徴は、標準モデルを含めて自然吸気の水平対向6気筒エンジンを搭載していることです。自然吸気とは、ターボを使わずに空気を取り込む方式で、アクセルを踏んだ量に合わせてエンジン回転が素直に上がります。
標準モデルは2.7リッターで265PS、Sは3.4リッターで315PS、GTSは330PSです。低回転では穏やかですが、回転を高めるほど音が澄み、オープン状態では背後から聞こえる吸排気音を強く楽しめます。絶対的な加速力よりも、エンジンを回す過程に魅力を感じる人に適しています。
休日に屋根を開け、エンジン音を聞きながら運転することが購入目的なら、981の満足度は高いでしょう。一方で、初期型は登録から10年以上経過しているため、車両価格だけでなく経年劣化への備えも必要です。
718ボクスターの標準モデルは2.0リッター水平対向4気筒ターボで300PS、Sは2.5リッターターボで350PSです。ターボエンジンは低い回転域から大きな力を出しやすく、街中や高速道路でもアクセルを深く踏まずに加速できます。
特に追い越しや上り坂では、981よりも力強さを感じやすいでしょう。シャシーや操舵系も981を基礎に磨かれており、コーナーでの正確さや安定感が高められています。運転に慣れていない人でも、車の動きをつかみやすい仕上がりです。
4気筒ターボの音は、981の6気筒とは性格が異なります。低く力強い音を好む人には合いますが、高回転まで滑らかに変化する6気筒の音を期待すると、物足りなく感じる可能性があります。購入前には屋根を開けた状態でも試乗することが重要です。
718の新しさと自然吸気6気筒の両方を求める場合は、718ボクスターGTS 4.0が有力です。4.0リッター自然吸気6気筒エンジンは400PSを発生し、718の高いシャシー性能と豊かなエンジン音を組み合わせています。
ただし、中古車でも一般的な718や981より大幅に高く、予算は1,000万円を超えることが珍しくありません。タイヤやブレーキなどの消耗品も高額になりやすいため、購入費だけで判断しないほうが安心です。
予算を抑えながら6気筒を楽しむなら981、購入後の年数や保証を重視しながら高性能を求めるなら718 GTS 4.0という分け方ができます。速さだけでなく、年間走行距離や保管環境まで含めて検討しましょう。
両車はミッドシップと呼ばれる、座席の後ろ付近にエンジンを搭載する基本構成を共通としています。それでも、エンジンの方式や力の出方が異なるため、同じボクスターでも運転したときの印象は大きく変わります。
| 比較項目 | 981ボクスター | 718ボクスター |
|---|---|---|
| 主な販売時期 | 2012年から2016年 | 2016年以降 |
| 標準モデル | 2.7L自然吸気6気筒・265PS | 2.0Lターボ4気筒・300PS |
| Sモデル | 3.4L自然吸気6気筒・315PS | 2.5Lターボ4気筒・350PS |
| 力の出方 | 回転を上げるほど力強い | 低回転から大きな力が出る |
| 音の特徴 | 滑らかで高音域が豊か | 低く力強いターボサウンド |
| 向いている用途 | 趣味性や音を重視 | 速さと日常性を重視 |
981は低い回転域で急激に加速するタイプではありません。アクセルを踏み込み、エンジン回転を上げるにつれて力と音が増していきます。そのため、一般道の速度でもギアを選びながら運転を楽しみやすい点が魅力です。
標準の2.7リッターモデルは、Sより最高出力が低いものの、軽快に回る感覚を味わえます。公道では性能を持て余しにくく、エンジンを回して楽しみたい人には、必ずしもSが最適とは限りません。
Sの3.4リッターは低回転から余裕があり、高速道路やワインディングでも力強く走れます。音と速さの両方を求める人には魅力的ですが、車両価格や税金、消耗品費用は標準モデルより高くなる傾向があります。
718のターボエンジンは、エンジン回転を高く保たなくても十分な加速力があります。信号からの発進、高速道路への合流、上り坂などで扱いやすく、普段使いでも性能の違いを感じやすいでしょう。
標準の2.0リッターでも300PSあるため、公道で力不足を感じる場面は多くありません。Sは2.5リッターとなり、さらに大きなトルクを発生します。トルクとは車を前へ押し出す力で、数値が大きいほど低回転から力強く加速しやすくなります。
一方、ターボが効き始めたときの加速は強いため、雨天時や狭い道路では丁寧なアクセル操作が必要です。性能を使い切れるかではなく、自分が安心して扱えるかを確認してください。
718は981の基本構造を受け継ぎながら、足回りやステアリング、ブレーキが改良されています。ハンドル操作に対して車体が正確に反応しやすく、連続したカーブでも姿勢を安定させやすいことが特徴です。
981も十分に高い旋回性能を持っていますが、運転したときの印象は少し穏やかです。車の動きが急激ではなく、エンジンの変化を感じながら走る楽しさがあります。速度を追求するより、車とのやり取りを味わいたい人に合います。
速く正確に曲がる感覚を優先するなら718、速度を上げすぎずに音と操作を楽しむなら981と考えると、違いを整理しやすくなります。ただし、タイヤの銘柄や摩耗状態によっても印象は変わります。
ボクスターは2人乗りのスポーツカーですが、前後に荷物スペースがあり、日常でも比較的使いやすい車です。ただし、981と718では車齢やナビゲーション機能、運転支援装備の選びやすさに差があります。
718は981より新しいため、低走行車や保証が残っている車を探しやすいことが利点です。年式によってはApple CarPlayに対応した車両もあり、スマートフォンの地図や音楽を車載画面で利用できます。
バックカメラや前後のパークアシストを装着した車両も比較的多く、狭い駐車場での負担を減らせます。ボクスターは後方が見えにくくなる場面があるため、日常利用が多い人には便利な装備です。
981の純正ナビは現在のスマートフォンと比べると古さを感じやすく、地図更新が終了している場合もあります。ただし、社外ディスプレイやスマートフォン対応機器へ交換された中古車もあるため、実車の仕様を確認しましょう。
981と718は、どちらも車体前方と後方にトランクを備えています。エンジンが座席の後ろに収められているため、屋根を開けても後部トランクの容量が大きく減らない点が便利です。
大きなスーツケースや長い荷物には向きませんが、買い物袋や小型の旅行かばんであれば分けて積めます。柔らかいバッグを選ぶと、トランクの形状に合わせやすく、空間を無駄なく利用できます。
車両によっては助手席の収納やカップホルダーの状態に差があります。中古車を確認するときは、運転席に座るだけでなく、普段持ち歩くバッグが置けるか、トランクを実際に開閉できるかも確かめてください。
PDKは、2つのクラッチを使って素早く変速するポルシェの自動変速機です。渋滞や街中では通常のオートマチック車に近い感覚で運転でき、必要なときはパドルやシフトレバーで任意に変速できます。
718のPDKはターボエンジンとの相性がよく、力強い加速を途切れにくく伝えます。981のPDKも十分に速く、エンジン音を楽しみながら無理なく走れるため、初めてポルシェを購入する人にも扱いやすいでしょう。
MTは自分でクラッチとギアを操作する分、車との一体感を得やすくなります。ただし、左ハンドル車や強化されたクラッチを装着した車では慣れが必要です。渋滞の多い地域で使う場合は、購入後の負担も考えて選びましょう。
中古のボクスターは、走行距離が少ないだけで良質とは限りません。長期間動かしていない車では、バッテリーやゴム部品、ブレーキなどが劣化していることもあります。走行距離とともに整備履歴や保管状況を確認する必要があります。
981は初期型なら登録から十数年が経過しています。エンジンが正常でも、エンジンマウント、足回りのゴム部品、ショックアブソーバー、冷却系ホース、エアコンなどに劣化が進んでいる可能性があります。
試乗では異音だけでなく、段差を越えたときの揺れ、ハンドルのずれ、エアコンの効き、アイドリングの安定性を確認してください。警告灯が消されていないか、診断機で過去のエラーを確認してもらうことも有効です。
低走行車でも、タイヤの製造年が古ければ交換が必要です。ポルシェ用の大径タイヤは4本同時に交換すると高額になるため、残り溝だけでなくひび割れや製造時期も購入費に反映させましょう。
718は981より新しい車両が多いものの、走行距離や使用方法によって状態は異なります。エンジン始動時の異音、加速時の息継ぎ、オイルや冷却水のにじみ、警告表示の有無を確認してください。
ターボ車は吸気や過給、冷却に関わる部品が増えます。必ず故障するわけではありませんが、改造による出力向上やサーキット走行歴がある車は、純正状態の車より慎重に点検する必要があります。
車高調、社外マフラー、大径ホイールなどが装着されている場合は、純正部品が残っているかも確認しましょう。改造内容によっては乗り心地や保証、車検、売却時の評価に影響する可能性があります。
ボクスターでは、電動幌の開閉動作を最初から最後まで確認することが大切です。途中で止まる、左右の動きがずれる、モーターから不自然な音が出る場合は、購入前に原因と修理費を確認してください。
幌の表面だけでなく、折れ目の傷み、後部ガラス周辺の接着状態、ゴムシールのひび割れも点検します。車内のカーペットに湿りやカビ臭さがある場合は、雨水の侵入や排水経路の詰まりがないか調べてもらいましょう。
屋外保管車では紫外線や雨の影響を受けやすくなります。購入後に屋根のない場所へ保管する予定なら、幌の清掃や撥水処理だけでなく、排水部分を定期的に点検できる整備店を確保しておくと安心です。
中古車選びでは、走行距離よりも定期的に整備されてきたかが重要です。点検記録簿、整備明細、オイル交換履歴、タイヤやブレーキの交換時期を確認し、説明が曖昧な車は慎重に判断してください。
販売店の系列に関係なく、購入前にポルシェを扱う整備工場で点検してもらう方法があります。車体下部、オイル漏れ、冷却系、足回り、診断機の記録まで確認できれば、外観だけでは見つけにくい問題を把握できます。
ポルシェ認定中古車には、条件に応じて保証とロードサービスが付帯します。車両価格は高くなりやすいものの、初めて所有する人や修理費の急な発生を避けたい人には安心材料になります。車台番号を使ったリコールの実施状況も確認しましょう。
中古車価格は、グレード、年式、走行距離、MTかPDKか、装備内容によって大きく変わります。希少な仕様は走行距離が多くても高額になることがあるため、平均価格だけで割安かどうかを判断しないようにしましょう。
2026年7月時点の大手中古車サイトでは、981型ボクスター全体の掲載平均はおおむね500万円台です。400万円前後から見つかる車両もありますが、低価格車では走行距離や保証、消耗品の状態を詳しく確認する必要があります。
標準の2.7リッターは、SやGTSより車両価格を抑えやすく、自然吸気6気筒の音を十分に楽しめます。最高出力だけを見ると控えめですが、一般道でエンジンを回しやすく、ボクスターらしい軽快さを感じられるグレードです。
初めてのポルシェとして981を選ぶなら、無理にSを狙わず、整備履歴の明確な2.7を優先する方法も現実的です。購入予算を使い切らず、タイヤやバッテリー、車検整備に使える資金を残しておきましょう。
981ボクスターSは、3.4リッターエンジンによる力強さと6気筒サウンドを両立しています。高速道路を利用する機会が多い人や、低回転でも余裕のある加速を求める人には、2.7より満足しやすいでしょう。
GTSは330PSのエンジンに加え、スポーツクロノやスポーツエグゾーストなど、人気装備を備えた車が多い点が魅力です。ただし、希少性から価格が高く、718の標準モデルと重なることもあります。
981のMT車やGTSは高値が付く傾向がありますが、将来の価格上昇が保証されているわけではありません。値下がりしにくさだけで選ばず、自分が実際に運転して楽しめる仕様かを優先してください。
718ボクスター全体の掲載平均価格は、高額なGTS 4.0などを含むため900万円前後になることがあります。ただし、初期の2.0リッターモデルでは500万円台から700万円台の車両も探せます。
標準モデルでも300PSあり、街中から高速道路まで十分な性能です。排気量が2.0リッターであるため、2.7リッター以上の981と比べると、自動車税の区分でも有利になります。日常利用と維持費のバランスを重視する人に向いています。
718 Sや2.5リッターのGTSは非常に速い一方、公道では性能を使い切りにくいこともあります。購入価格やタイヤサイズも上がりやすいため、速さを求める理由が明確でなければ、標準モデルから検討すると選びやすくなります。
ボクスターは新車注文時のオプションが多く、同じグレードでも装備が大きく異なります。人気が高いのは、スポーツクロノ、スポーツエグゾースト、PASM、シートヒーター、電動格納ミラー、パークアシストなどです。
PASMは電子制御式の足回りで、走行状況に応じて乗り心地や安定性を調整します。スポーツクロノは走行モードや変速制御をスポーティーに変更する装備です。どちらも魅力的ですが、街中中心なら必須とは限りません。
装備が多い車より、整備状態が良く、自分に必要な装備がそろった車を選びましょう。特にシート形状や足回りは乗り心地に直結します。写真だけで決めず、同乗者も含めて実車に座り、可能であれば一般道で試乗してください。
718ボクスターと981ボクスターのどちらを買うかは、速さと新しさを取るか、自然吸気6気筒の音や回転感覚を取るかで判断できます。普段使いのしやすさ、低回転からの加速、保証の選びやすさを重視するなら718が適しています。
エンジンを回したときの音や反応を楽しみ、趣味性を重視するなら981が有力です。特に2.7リッターは、SやGTSより購入費を抑えながら6気筒を味わえます。ただし、年式が古いため、整備費を含めた予算を組む必要があります。
迷った場合は、状態のよい981と同価格帯の718を同じ日に試乗し、屋根を開けた状態で音、加速、乗り心地を比べてください。グレードや走行距離だけで決めず、整備記録、幌、タイヤ、冷却系、保証内容まで確認することが、満足できる一台を選ぶために重要です。